
🌈 札幌英会話ニュースレター🌝
Read the English version, The Growing Number of Native English Speakers in Sapporo
※このサイトでは、一般的な「ネイティブ英語」「ネイティブ教師」ではなく、「ネイティヴ英語(ネイティブ英語)」「ネイティヴ教師(ネイティブ教師)」という表記を使用しています。英語の発音により近いと考えているためです。
札幌でネイティヴ英語教師として生活していると、本当にさまざまな職業の方と知り合う機会があります。
レストランやバーのオーナー、カラオケ店の経営者、整体師や理学療法士、パーソナルトレーナー、リフォーム業者、電気工事士、パティシエやパン職人、寿司職人、ホステス、ネイリスト、理容師、会計士、コンサルタントなど、多種多様です。そうした方々からよく聞かれるのが、「これは英語でどう言えばいいですか?」「お客様にはどう説明したらいいですか?」「この単語の発音を教えてください」といった質問です。特に *r* と *l* が何度も出てくる単語は難しいようで、一緒に発音練習をすることもよくあります。
そして会話を続けていると、多くの人が同じような話をします。
「最近、札幌で英語を話している人が増えましたよね。」
大通のカフェでカフェラテを飲んでいても、すすきのでビールを飲んでいても、新千歳空港から札幌駅へ向かう快速エアポートに乗っていても、以前より英語が聞こえてくる機会が増えたように感じます。観光業やホテル業界の方はもちろん、不動産関係者、医療関係者、大学職員、小売業、フィットネスクラブのスタッフなど、多くの人が似たような印象を持っているようです。
そこで、ふと疑問が浮かびました。
札幌には実際どれくらい英語を母語とする人がいるのだろう?
調べ始めた頃は、この問いにそれなりに明確な答えがあると思っていました。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドといった英語圏出身者の人数を調べて合計すれば、おおよその数字は見えてくるだろうと考えていたのです。
ところが実際には、一つ疑問が解決するたびに新しい疑問が出てきます。二重国籍の人はどう考えるべきだろうか。シンガポール出身者はどうだろう。インド出身者はどうだろう。観光客は含めるべきだろうか。
調べれば調べるほど話は複雑になり、気が付けば「英語話者を数える」ことよりも、「そもそも英語話者とは誰なのか」を考えていました。
最初にぶつかったのは、二重国籍や国際的なバックグラウンドを持つ人たちの存在です。
札幌市の統計を見れば、アメリカ人やカナダ人、イギリス人などの人数はある程度分かります。しかし、それだけでは実際に札幌で生活している英語母語話者の数を把握することはできません。
例えば、日本人とカナダ人の両親を持つ人や、日本とアメリカの二重国籍を持つ若者の中には、英語を母語として育った人が少なくありません。ところが、こうした人たちは外国人住民統計には現れない場合があります。
日本では20歳以降の二重国籍は原則として認められていませんが、現実には複数の国や文化と深いつながりを持ちながら生活している人もいます。また、20歳未満で合法的に二重国籍を保有している若者もいます。
もちろん正確な人数は分かりません。しかし、国際結婚の家庭で育った人や、英語圏で育って帰国した帰国子女など、日本人として登録されている英語母語話者の存在を考えると、統計には現れない英語母語話者が一定数いると考えるのが自然でしょう。
ここで終わりなら話は比較的簡単だったのですが、実際にはそうではありませんでした。
調べていくうちに、もう一つの問題に気付いたのです。
それは、「英語圏出身者」と「英語をネイティヴレベルで使う人」は必ずしも同じではないということでした。
例えばシンガポールです。多くの日本人はシンガポールをアジアの国として認識していますが、英語はシンガポールの公用語の一つであり、教育やビジネスの場でも広く使われています。英語を第一言語として育った人も少なくありません。同じようなことはインドやフィリピンにも当てはまります。もちろん、これらの国の人すべてがネイティヴレベルの英語を話すわけではありません。しかし、高度な英語教育を受け、日常生活や仕事で英語を使っている人々が数多く存在することも事実です。
このあたりで私は少し考え方を変えることにしました。
最初は「ネイティヴ英語話者が何人いるのか」を知りたいと思っていました。しかし調べれば調べるほど、それだけでは実態を十分に説明できないことが分かってきたのです。
実際、インドのITエンジニアやシンガポールの研究者の中には、多くの英語圏出身者と区別がつかないほど自然に英語を使う人がいます。一方で、英語圏出身であっても、日本で長年暮らしていて日常生活ではほとんど英語を使わない人もいます。
そう考えると、「どの国の出身なのか」よりも、「実際にどの程度英語を使えるのか」のほうが重要なのかもしれません。
ここから先は、どうしてもある程度の推測が必要になります。国籍ごとの人数は統計から調べることができます。しかし、その中の何人が英語をネイティヴレベルで使うのかまでは分かりません。つまり、私が最初に探していた「正確な数字」は、最初から存在しなかったのかもしれません。
しかし、それで調査が無意味になるわけではありません。むしろ、おおよその規模を推定することで、札幌の英語環境がどのように変化しているのかが少しずつ見えてきました。そこで私は、英語圏6か国の住民数を土台にしながら、統計には現れにくい二重国籍者や、英語をネイティヴレベルで使う人々も含めて考えてみることにしました。
その結果、現在の札幌には英語圏6か国出身の住民がおよそ1,850人、統計には現れにくい英語母語話者が約130人、さらに英語をネイティヴレベルで使う人々が約800人いると推定されます。
もちろん、これらはあくまで推定値です。しかし、こうした数字を合計すると、札幌にはおよそ2,800人のネイティヴまたはネイティヴレベルの英語話者が長期的に居住していることになります。
正直なところ、この数字は私が予想していたよりも多いものでした。
ところが、話はまだ終わりません。
なぜなら、街を歩いていて耳にする英語のかなりの部分は、実際には札幌市民ではなく観光客によるものだからです。大通やすすきの、札幌駅周辺で英語が聞こえてくるとき、その話し手が札幌に住んでいるとは限りません。
ここで考えなければならないのが、札幌を訪れる旅行者の存在です。
札幌に長期的に住んでいるネイティヴまたはネイティヴレベルの英語話者がおよそ2,800人だとすると、私たちが日常生活の中で感じている「英語が増えた」という印象を説明するには少し少ないようにも思えます。
大通公園や札幌駅周辺、狸小路、すすきの、さらには定山渓や小樽へ向かう交通機関の中でも、英語の会話を耳にすることは珍しくありません。
そこで今度は、札幌を訪れる旅行者についても調べてみることにしました。
札幌には年間1,400万人以上の観光客が訪れており、そのうち外国人宿泊者数は年間250万~270万人程度で推移しています。いずれの数字も増加傾向にあり、今後さらに伸びることが予想されます。
もちろん、その大部分はアジアからの旅行者です。しかし、その中にはアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドといった英語圏諸国からの旅行者も数多く含まれています。
さらに忘れてはいけないのが、英語を共通語として使うヨーロッパ諸国やシンガポールなどからの旅行者です。こうした人々を含めて考えると、札幌には毎日かなりの数の英語話者が滞在していることになります。
年間の宿泊者数や平均滞在日数などを基に大まかに計算すると、札幌には平均して2,300人前後のネイティヴまたはネイティヴレベルの英語話者の旅行者が存在していると推定できます。
もちろん、これは一日の平均値です。雪まつり期間中や夏の観光シーズンにはもっと多くなりますし、平日や閑散期には少なくなります。
それでも興味深いのは、この数字が札幌在住の英語話者数にかなり近いということです。
つまり、札幌には常時約2,800人の長期居住者と、約2,300人の旅行者が存在している計算になります。両者を合わせると、およそ5,000人を超えるネイティヴまたはネイティヴレベルの英語話者が、平均的な一日に札幌市内に存在していることになります。
もちろん、これはあくまで推計です。正確な人数は誰にも分かりません。
しかし、最近になって街中で英語を耳にする機会が増えたと感じる理由としては、十分に納得できる数字ではないでしょうか。
実を言うと、私が本当に知りたかったのはここから先でした。
「確かに増えているようだ。」
では、
「それはコロナ前と比べてどれくらい増えたのだろう?」
という疑問です。
2019年と現在の数字を比較してみると、まず目に付くのは観光客の増加です。確かに、札幌を訪れる英語話者の旅行者数はコロナ前より増えています。しかし、実は私が最も驚いたのは観光客の数字ではありませんでした。
本当に大きく変化していたのは、札幌に長期的に住んでいる英語話者の数だったのです。
私の推計では、2019年頃の札幌にはネイティヴまたはネイティヴレベルの英語話者が1,800人居住していました。それが現在では2,800人になっています。もちろん推計には幅がありますが、それでもこの数年間で約1,000人増加した計算になります。
これは決して小さな変化ではありません。実際、街中で英語を耳にする機会が増えたと感じるのであれば、その理由の一つとして十分説明できる規模だと思います。
さらに興味深いのは、その内訳です。
2019年頃の札幌に住む英語話者の多くは、英会話講師やALT、JETプログラム参加者、あるいは日本人と結婚した欧米出身者などが中心でした。もちろん現在もそうした方々は札幌の国際コミュニティの重要な一部です。
しかし最近では、それとは少し異なるタイプの人たちが増えています。その代表例がIT分野や研究分野で働く高度専門職の人々です。
札幌市は近年、IT産業の育成や国際研究都市としての発展に力を入れています。特に北海道大学を中心とした研究機関やテクノロジー関連企業では、海外から専門人材を積極的に受け入れる動きが続いています。
千歳市に広大な敷地を持つRapidusの次世代半導体工場と、北海道大学との連携が相まって、北海道において最先端の半導体産業をゼロから構築する動きが加速しています。この流れが地域労働力の急速な拡大を促し、国内外から多くの専門人材が札幌圏へと引き寄せられています。
米国、台湾、西欧などをはじめ、インドやフィリピンといった国々から、高い英語力を持つエンジニアや研究者、管理職、専門職の人々が札幌へ移住するケースが増えています。
国籍だけを見ると英語圏出身者ではありません。しかし実際のコミュニケーション能力という観点から見ると、英語圏出身者とほとんど変わらないレベルで英語を使っています。そして、こうした人々の増加が、札幌の英語環境を大きく変えつつあるように思います。
実を言うと、この変化は私自身にとっても少し意外でした。
調べ始める前は、「英語話者が増えているなら、英語圏出身者が増えているのだろう」と漠然と考えていました。ところが実際には、それ以上に目立っていたのは、英語を高いレベルで使いこなす多様な国籍の人々の増加だったのです。
言い換えれば、札幌の英語コミュニティは以前よりもずっと多国籍になっていると言えるかもしれません。
そして観光客についても、単純に人数が増えただけではありません。コロナ前と比較すると、欧米からの旅行者の平均滞在期間が長くなっているという指摘もあります。円安の影響もあり、日本での滞在コストが相対的に下がったことで、以前より長期間日本を旅行する人が増えているようです。
その結果、年間の旅行者数が同程度だったとしても、ある一日の札幌市内に存在する旅行者数は増えることになります。つまり、「今日は英語を話す人をたくさん見かけたな」と感じる確率そのものが高くなっているのです。
こうして見てみると、最近札幌で英語を耳にする機会が増えているのは、単に観光客が戻ってきたからではありません。
長期居住者が増え、さらに旅行者の滞在期間も伸びている。
複数の要因が同時に重なった結果として、英語が以前より身近な存在になっているのです。
ここまで調べてきて、もう一つ興味深いことが分かりました。
それは、札幌では英語を使う人が確実に増えているにもかかわらず、外国人全体に占める割合としてはむしろ少しずつ下がっているということです。
最初にこの数字を見たときは、私自身も少し驚きました。街中で英語を耳にする機会は明らかに増えています。英語圏出身者も増えています。英語をネイティヴレベルで使う人も増えています。
それなのに割合は下がっているのです。
なぜでしょうか。
答えは比較的単純です。英語話者が増えている以上に、それ以外の国や地域から来る人たちが増えているからです。
札幌市の外国人住民を見ると、中国、韓国、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなど、東アジアや東南アジア出身者が大きな割合を占めています。一方で、観光客の顔ぶれを見るとまた違った景色が見えてきます。韓国、台湾、香港、中国、シンガポールなどからの旅行者が非常に多く、特に韓国や台湾からの観光客は札幌観光を支える重要な存在になっています。
考えてみれば当然かもしれません。ソウルから札幌までは飛行機で2時間半から3時間程度です。台湾からも比較的短時間で来ることができます。さらに北海道には、こうした地域にはない大きな魅力があります。
雪です。
札幌雪まつり、スキー、スノーボード、冬の温泉。私たちにとっては当たり前の冬の風景でも、雪の降らない地域から来た人たちにとっては特別な体験です。そのため、英語圏以外の国々からも非常に多くの人が札幌を訪れるようになっています。
また、住民についても同じ傾向があります。ベトナムやインドネシア、ミャンマーなどからは、技能実習や就労を目的として来日する若い世代が多くなっています。
つまり札幌の国際化は、単純に「英語圏の人が増えている」という話ではないのです。もっと幅広く、多様な形で進んでいます。
その結果、英語を使う人の絶対数は増えている一方で、外国人全体に占める割合は少しずつ低下しています。私の推計では、外国人住民と外国人旅行者を合わせた国際人口全体に占める英語話者の割合は、2018年頃にはおよそ12%でしたが、現在では10%前後になっています。
これは英語話者が減ったからではありません。むしろ逆です。英語話者の数は実際に伸びています。ただ、それ以上のスピードで札幌そのものが多様化しているのです。
この数字を見ていると、札幌の変化について一つのことがよく分かります。以前の札幌の国際化は、比較的限られた国々との交流が中心でした。しかし現在の札幌は、より多くの国や地域とつながる都市へと少しずつ変化しています。英語圏だけではありません。東アジア、東南アジア、南アジア、ヨーロッパなど、さまざまな地域とのつながりが広がっているのです。
そして私は、この変化をとても前向きなものだと感じています。
記事の冒頭で、私は札幌で出会うさまざまな事業者の方々について書きました。レストランのオーナー、バーの経営者、美容師、マッサージ師、パン職人、修繕業者などです。そして多くの方が、「最近、英語を使う機会が増えた」と話していました。
今回数字を調べてみて分かったのは、その感覚は決して気のせいではなかったということです。確かに札幌では、ネイティヴ英語話者やネイティヴレベルの英語話者が増えています。しかし同時に、それ以上のスピードでさまざまな国や地域から人々が集まるようになり、街全体が以前よりもずっと多様になっています。
英語はもはや欧米出身者と日本人をつなぐだけの言語ではありません。ベトナム人の技能実習生と日本人経営者をつなぐ言語かもしれません。インド人エンジニアと日本人研究者をつなぐ言語かもしれません。台湾から来た旅行者と地元の商店主をつなぐ言語かもしれません。あるいは、国籍も母語も異なる二人が偶然札幌で出会ったときに、お互いを理解するための共通語なのかもしれません。
札幌の人口そのものは減少を続けています。しかし国際的な人の流れは、その流れとは逆方向に進んでいます。街を歩けば、以前より多くの言語が聞こえてきます。より多くの国や地域の人々が、この街で学び、働き、暮らし、旅をしています。
私はネイティヴ英語教師として、この変化にはもう一つ大きな意味があると感じています。
それは、札幌で英語を学ぶ人たちにとって、以前よりも良質な英語に触れられる機会が増えているということです。私は昔から、語学学習において最も恵まれた環境の一つは、自分より少し高いレベルの話者と自然に交流できる環境だと考えています。
英語力は教室の中だけで身につくものではありません。もちろんレッスンは大切です。しかし実際には、ネイティヴや高レベルの話者との交流から学べることもたくさんあります。自然な発音や表現、リンキング、会話のテンポ、言葉の選び方などは、日々のコミュニケーションの中で少しずつ身についていく部分も少なくありません。
ネイティヴ英語話者やネイティヴレベルの英語話者が増えるということは、日本人学習者だけでなく、英語を第二言語として学んでいる外国人にとっても、そうした英語に触れる機会が増えるということでもあります。大学生も社会人も、英会話教室に通いながら、地域イベントやカフェ、職場や日常生活の中で英語を実際に使う機会を以前より見つけやすくなっています。英語が上手な人が増えるということは、英語を学ぶ人にとって街全体が生きた教材になるということでもあります。
今回の調査は、「札幌にはネイティヴ英語話者が何人いるのだろう?」という単純な疑問から始まりました。しかし調べれば調べるほど、その数字以上に興味深かったのは、札幌という街そのものが少しずつ変化しているという事実でした。
札幌は少しずつ、しかし確実に国際的な都市になっています。
そして私は、その変化の真ん中で英語を教えられることをとても幸運に思っています。
今は、札幌で英語を学ぶにも、英語を教えるにも、とても面白い時代なのかもしれません。
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